教学

こころの時代 – 日本庭園の伝えるもの – (文字起こし05)

つづき
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(解説者)
 自然の姿をみているのと同じように、
 自分の心を見ていると、どこで引っかかっているのか
 どういう方向に動く可能性があるのか
 ということにも、自ずと気がついてくる。という世界があるわけでしょうか。

そうですね。
この私達の心を縛ってしまうのが
「執着心」であるとか
「妄想(もうぞう)」だとか
「煩悩」ですよね。

それで、
私たちは「あーしなきゃいけない。こーしなきゃいけない」
「こうならなければいけない」と、
自己中心的な考え方がどんどんどんどん自分を縛っていく。
そうすると動きがとれなくなってくるんですね。

それは自分の概念が固定している状態です。
ですが、すべての物事は変化していっているんですね。
変化することが当たり前なんだ。と、
変化の大きな流れに乗っかりながら、自分でどういう風に解決していったら良いのか。
ということを見定めていく。ことが大事なんですね。

一瞬、そのことだけを切り取ることはできないんだ。ということだと思うんですね。

(解説者)
 しかし、現代では自分中心に生きる癖がついていますので、
 自分は「こうしたい」「あーしたい」とか、
 「してほしい」とか自分中心に考える癖がついております。

 そして、周囲とのつながりの中で、周囲の人が自分に何を求めているか
 ということも当然あるわけです。

 自分の置かれている場所に気がつくためには、
 自分がしたいこと、してほしいこと、
 プラス、外から自分に何を要求しているのか
 自分の今の位置はどこにいるのかということに気がつくと
 問題の見方も変わってくるんじゃないかな。と思いますね。

そうですね。

(解説者)
 ある木があって、その木を自分の庭に持ってきたらいいだろうと持ってきても
 周囲とのつながりがバランスがとれないんですね。
 庭園を設計なさるとき、全体的なことを考えざるおえない。考えてなさるんですか。

そうですね。
全体の中の、空間構成ですね。
これをどういうふうにすることができるか、
空間を使われる方、訪れる方に、どういう気持ちになっていだけるかが
いちばん初めに頭にあります。

それを実現するために
その持ってきた木を、当初思っていたところに置くと
自分の中で固定されてしまうわけですね。
自分の執着を押し付けることになるわけですね。
そうじゃなくて、この木は、こっちじゃなくて、こっちへ植えたらもっとよくなるよ。
と言ってくれている。木心をきくんですね。
はっと、気がついて、そちらへ持っていくわけです。

現場で「これ図面と違いますけど、良いですか」と言われるわけですが
「こちらで良いんです」と。(笑)