対話

こころの時代 – 日本庭園の伝えるもの – (文字起こし)

横浜市建功寺住職の枡野俊明さんは、国際的な庭園デザイナーである。日本をはじめ、世界各地で75以上の庭を手がけている。日本庭園の根底にある「禅のこころ」を伺う。

【詳細】
枡野さんと禅の庭との出会いは小学五年生のとき。家族で訪れた京都・龍安寺の庭の美しさに心を打たれたという。以来、ひたすら庭造りを目指し、大学で植物学を学ぶかたわら、造園設計の第一人者・斎藤勝雄氏に師事した。卒業後、總持寺で修行をする中で、自然の中に生かされている自分に気づき、庭造りと禅の修行が一つになったと言う。ものの本質をとらえる禅の世界について、枡野さんが手がけた庭を拝見しながら話を伺う。

【出演】建功寺住職,庭園デザイナー…枡野俊明
【きき手】金光寿郎

・・・(庭を散策)
この辺は、空間を一度閉めているんですね。
気持ちが集中するように。
そのあと、微妙に高低差もつけています。
目の高さを上げてきています。
その先に行くと、空間がパッと開くんです。
そうすると、この変化点といいますのも、一つの見るポイントなんですね。
更に、開く、開(かい)の空間になるんですね。
空間を閉じる、開く、閉じる、開く、歩いていくうちに開閉開閉をしているんです。
そうすると気持ちが変化していくわけですね。

池が見えてきました。
この辺が一番高い位置になり、庭の全貌が見えてくるわけです。
ちょっとでも目の高さが変わりますと、だいぶ見え方が変わります。

一番開けた場所に来ました。
ここは心地よい場所です。
ここからは三段の滝が正面に見えてきます。
禅語に「三級浪高魚化龍」とあります。
中国の黄河がよく反乱したものですから山を崩して整えようとしたところ
昔は鯉が自由に上がれたのが、何万匹に一匹登りきる。
それを中国では天国に登って龍となるんですね。
その言葉を禅では、
「きちんとした師につけば、必ず心を開くことができる。
 そして努力をしていけば、必ず高みに上がっていくことができる。」
を象徴的に扱っております。
庭では石を使っています。
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いまの現代に暮らす方々は非常に忙しく、追われるような生活を強いられますので
ここに来ることによって本来の自分を取り戻し、
ここに身を置くことによって、もういちど自分自身に気がついていただく
そういう場にしてもらいたいと思ってデザインしています。